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ID m1021001
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タイトル ラットのプロリダーゼ活性に及ぼす食餌蛋白質濃度の影響について
別タイトル
著者
伊藤, 剛史 (Itou, Tsuyoshi)
別府大学大学院食物栄養科学研究科食物栄養科学専攻
日付
出版年:  - 
作成日
更新日
記録日: 2013-01-22
形態
識別番号
DOI
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抄録 要旨
【目的】
プロリダーゼ(PD)は、プロリンをカルボキシ末端にもつジペプチドを加水分解するジペプチダーゼの一種である。PDは、他のジペプチダーゼと同様、体蛋白質分解の最終段階を担っており、蛋白質分解の制御にも関与すると考えられる。哺乳類のPDには、体内に幅広く分布し、基質特異性の異なる2種類の酵素(PDⅠとⅡ)が存在する。ラットのPDⅠはメチオニルプロリン(Met-Pro)とグリシルプロリン(Gly-Pro)をはじめ多くのX-Proをよく分解するが、PDⅡはMet-Proの分解活性が特異的に高く、他のX-Proの分解活性は低く、Gly-Proはほとんど分解しない。したがって、Met-ProとGly-Proを基質としてPD活性を測定することにより、PDⅠとPDⅡの活性を推定することが可能である。
近年、ラットを用いた研究において、PDⅠとPDⅡの臓器分布や成長による変化などが報告されているが、食餌組成がPD活性に及ぼす影響を調べた研究は少ない。ラットの臓器・組織におけるPDⅠとPDⅡの生理的役割について研究する目的で、Met-ProおよびGly-Proを基質としてPD活性に及ぼす食餌蛋白質濃度の影響について検討した。
【方法】
3週齢SD雄ラット9匹をカゼイン20%の対照群食で1週間予備飼育した。その後、3匹ずつ対照食(C)群(カゼイン20%)、高蛋白質食(H)群(カゼイン40%)、低蛋白質食(L)群(カゼイン5%)に分け、各群を該当する食餌で2週間飼育した。飼育後、肝臓・脳・腎臓・小腸の4つの臓器を摘出した。小腸は腸管の内と外を反転後、粘膜を採取した。各臓器は4倍量のトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で(小腸粘膜は3個体を合わせて、その他の臓器は個体別に)ホモジナイズした。その後、12,000×gで15分間遠心を行い、その上清画分を酵素源溶液とした。酵素活性の測定はMyaraらの方法を一部改良した方法を用い、Met-ProおよびGly-Proを基質として酵素反応の測定を行った。
【結果】
比較は、1分間の反応中に生成したプロリン量を酵素源蛋白質量で除した比活性によって行った。C群と比較すると、腎臓のH群は両基質の活性で約1.4倍有意に増加し、L群は両基質の活性に有意な差が見られなかった。肝臓のH群およびL群は両基質の活性に有意な差が見られなかった。脳のH群はMet-Pro分解活性では有意な差が見られなかったが、Gly-Pro分解活性で約1.1倍有意に増加し、L群は両基質の活性に有意な差が見られなかった。小腸は、統計処理を行っていないが、C群と比較すると、H群で両基質の活性は約1.3倍増加傾向を見せ、L群はGly-Pro分解活性で約80%、Met-Pro分解活性で約90%へと低下傾向を見せた。各群を臓器・組織間で比較すると、Met-Pro分解活性およびGly-Pro分解活性ともに、すべての群で肝臓が最も低く、脳、腎臓、小腸の順に高かった。なお、腎臓と小腸は肝臓と脳よりPD比活性が高く、肝臓に対して、Met-Pro分解活性でそれぞれ約5倍、約10倍、Gly-Pro分解活性でそれぞれ約10倍、約20倍高かった。
臓器・組織の総酵素活性で比較すると、Met-Pro分解活性およびGly-Pro分解活性はともに小腸が最も高く、次いで腎臓、肝臓、脳の順となった。
Met-Pro分解活性/Gly-Pro分解活性の比は、腎臓と小腸に比べ脳と肝臓のMet-Pro分解活性/Gly-Pro分解活性の比が高かった。これは、臓器・組織の総酵素活性の比較においても同じであった。
【考察】
本研究から、食餌蛋白質濃度の違いにより、ラットの臓器のPD比活性が変化することが示された。脳はGly-Pro分解活性で、腎臓は両基質の分解活性のPD比活性において、C群に比べH群で有意に増加した。この結果は、脳、腎臓において、大量の蛋白質の代謝が要求される場合にはPD活性が増加するという、蛋白質、アミノ酸の代謝の変化に応じたPD活性の調節の存在を示唆していると推測される。
また、腎臓と小腸のPDのMet-Pro 分解活性/ Gly-Pro分解活性の比は、肝臓と脳に比べ低い値を示したことから、腎臓と小腸は、多くの種類のX-Proを分解するPDⅠの発現量が高く、食餌蛋白質由来および体蛋白質由来のイミノジペプチドの分解に重要な働きをしていることが示唆された。これに対し、肝臓と脳は、PD比活性、PDⅠの発現量がともに低かった。PDⅠに比べPDⅡの活性が保たれていたことから、肝臓と脳におけるPDの機能は腎臓と小腸とは異なることが示唆される。
キーワード
NDC
注記 平成23年度修士論文
指導教員 安房田司郎
言語
jpn
資源タイプ text
ジャンル Thesis or Dissertaion
Index
/ Public / 修士論文 / 食物栄養科学研究科 / 2011
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