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詳細
閲覧数:1556
ID |
m1013005 |
アイテムタイプ |
Article |
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タイトル |
長頸壺:中・南九州を中心として
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別タイトル |
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著者 |
榎本, 美里
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別府大学大学院文学研究科文化財学専攻
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日付 |
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形態 |
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識別番号 |
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抄録 |
要旨
南九州における弥生時代中期後半の土器型式に位置付けられている山ノ口式土器は、胴部が算盤玉型を呈し、多重の突帯を施されているのが特徴の長頸壺が含まれている。山ノ口式長頸壺は一部の研究で用いられてはいるものの、その成立や用途は明らかにされていないのが現状である。本論では、これまで深く検討されてこなかった山ノ口式長頸壺に着目して、大隅という地域になぜ山ノ口式長頸壺が出現したのかという問題点を解明するためにその出自を検討し、山ノ口式長頸壺の実態を明らかにしていきたい。また、一部の研究では、胴部の形状が類似しているという点から免田式長頸壺と比較されているが、分布圏の不一致や施文技法が異なり、その系譜関係は十分に明らかにされていない。そこで、この胴部形状の類似性をもとに、山ノ口式長頸壺と免田式長頸壺が共通の土器型式にその出自が求められるのではないかと考え、2つの長頸壺の出自を考察し、検討を行う。
本論では、南九州にみられる山ノ口式長頸壺の出自を、熊本県所在の神水遺跡出土の算盤玉型の胴部を呈し、肩部に多重突帯が施されている長頸壺の袋部を打ち欠いたものに求められるのではないかと検討し、さらにその祖形は須玖Ⅱ式土器の袋状口縁壺に求めた。また、免田式長頸壺の出自も、頸部形態の変遷などから同様の長頸壺に求めることができるのではないかと検討した。よって、算盤玉型の胴部をもつ免田式長頸壺と、同様の胴部形状を持つ山ノ口式長頸壺との類似性の問題は、神水遺跡出土の長頸壺の袋部が外れたものという、同じ形状を有する長頸壺を祖形とすることで解消できる。
山ノ口式長頸壺の祖形や各遺跡の出土状況から、祭祀的要素を有する長頸壺であると考えた。特に、薩摩半島の開聞岳起源の暗紫ゴラの堆積から、火山に対する天変祭祀に供献されたのではないかと推定した。
南九州は九州でも火山が多い地域であり、特に大隅地域は北部に霧島連山、中部に桜島、海を挟んで南部に開聞岳が存在する。このように火山に囲まれた大隅地域では、もともと祭祀性の強い須玖Ⅱ式土器という外来系の土器の系譜を引く山ノ口式長頸壺は、同地域でも日常生活で使用するよりも祭祀などに用いられる特殊な土器として扱われたと考えられる。外来系の土器ゆえに、天変祭祀に供献される特殊な用途として、須玖Ⅱ式土器や瀬戸内系土器といった特殊な土器と共にセットで供献されたものであろう。 |
キーワード |
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NDC |
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注記 |
平成23年度修士論文 指導教員 下村智 |
言語 |
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資源タイプ |
text |
ジャンル |
Thesis or Dissertaion |
Index |
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関連アイテム |
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