BUILD Site - 竹からエタノールの発酵生産に関する研究

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k085101

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タイトル

竹からエタノールの発酵生産に関する研究

別タイトル

著者

永木, 優介
別府大学大学院食物栄養科学研究科

日付

出版年

: -

作成日

更新日

記録日	: 2011-08-24

形態

上位タイトル

(2010. 3) ,p.2- 34

識別番号

DOI
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抄録

要旨
[目的] かつての日本では、竹は人間の生活には欠かせない重要な資源であったが、今日では石油系製品等の普及によって、かつてほど使用されなくなってきている。その一方で、国内には多くの竹林が残っているが、竹林の拡大による森林被害が全国各地で発生している。特に、過疎高齢化の度合いが高い中山間地においては、維持管理のための担い手不足は深刻であり、地域社会の維持のためにも、有効な対策が求められている。
　本研究では、大分県産の竹を有効利用するために、大分県産孟宗竹および真竹のリグノセルロースからのバイオエタノールの発酵生産を目的とした。また、前処理は硫酸を使う方法が一般的だが環境への負荷が大きいため、加圧水熱処理実験装置を用いて蒸気処理を行った。
[実験方法]
市販酵素製剤による糖化反応…未処理竹粉末および蒸気処理竹粉末50 mg(セルロース粉末の場合は20 mg)、0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)を1 ml、各市販酵素製剤を5 μl(酵素を複数入れる場合はそれぞれ5 μl)含む反応組成液で、130 strokes/min、50℃で24時間反応させた。5分間煮沸により反応停止後、生成グルコースをムタロターゼ・GOD法により定量した。
エタノール発酵…竹粉末の糖化液10 ml(グルコース濃度1.398 mg/ml～10.261mg/ml)に酵母(焼酎、清酒酵母は5×106～5×107個、パン酵母は5～20mg(乾燥重量))を植菌し、0～130strokes/min、30℃の条件でエタノール発酵を開始した。培養液を経時的にサンプリングし、グルコースとエタノールを定量した。
[結果]
セルラーゼ粉末の糖化では、セルラーゼSSとセルラーゼコンプレックス(酵素番号13)の組み合わせで最も効率の良い糖化(グルコース生成量9.68 mg/ml/24時間反応)が認められた。
孟宗竹粉末の糖化では、未処理孟宗竹粉末でのセルラーゼSSとエンザイムコンプレックス(酵素番号12)の組み合わせで最も効率の良い糖化(グルコース生成量6.49 mg/ml/24時間反応)が認められた。
真竹粉末の糖化では、160℃蒸気処理真竹粉末でのセルラーゼSSとエンザイムコンプレックス(酵素番号12)の組み合わせで最も効率の良い糖化(グルコース生成量3.20 mg/ml/24時間反応) が認められた。
エタノール発酵では、糖化液10ml(グルコース濃度10.261 mg/ml)にパン酵母5 mgを植菌し、0strokes/min、30℃の条件で最大エタノール理論値が最も高かった。48時間後にエタノール生成量が最大(エタノール濃度2.02%、最大理論エタノール濃度の38.60%)になった。
[考察]
セルロース粉末の糖化では、最も効率良い酵素の組み合わせの場合、セルロースの48.4%が糖化に使用されたと推定できる。また、セルロース1トンから484 kgのグルコースが生成できると推定できる。
孟宗竹粉末の糖化では、蒸気処理の効果が見られた酵素の組み合わせもあったが、未処理孟宗竹粉末で最も効率の良い糖化が認められた。よって、蒸気処理の効果を出すためには蒸気処理温度や蒸気処理時間を見直す必要がある。また、最も効率の良い糖化が認められた条件では、未処理孟宗竹粉末1トンから129.8kgのグルコースが生成できると推定できる。
真竹粉末の糖化では、160℃で最も蒸気処理の効果が見られた。孟宗竹粉末に比べてグルコース生成量が劣るのは、竹に含まれるセルロースの割合の違いだと考えられる。また、最も効率の良い糖化が認められた条件では、160℃蒸気処理真竹粉末1トンから64kgのグルコースが生成できると推定できる。
エタノール発酵では、最適条件でも最大理論エタノール収率の38.60%しかエタノールが生成しなかった。グルコースの全量はエタノール発酵中に全て消費されているので残りの61.40%のグルコースは酵母の菌体増殖及び維持代謝に使用されたと推定できる。

キーワード

ＮＤＣ

注記

指導教員､森口充瞭
図版22枚

言語

jpn

資源タイプ

text

ジャンル

Thesis or Dissertation

Index

/ Public / 修士論文 / 食物栄養科学研究科 / 2009