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ID k073923
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本文 博士論文完成本.pdf
Type : application/pdf Download
Size : 7.3 MB
Last updated : Feb 27, 2012
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タイトル 銅・鉛・ガラス製品からみた日本・韓国と東南アジア地域との歴史時代の交流 : 銅同位体比分析を通して
著者
魯, 禔玹
別府大学大学院
日付
出版年:  - 
作成日
更新日
記録日: 2011-08-24
上位タイトル
(2010. )
博士論文情報
学位授与番号 甲第13号
学位授与年月日 2010-09-17
学位名 博士(文学)
学位授与機関 別府大学
抄録 要約
 2005年〜2007年まで行った考古遺物に関して行った鉛同位体比分析の結果としてキリスト教関連遺物から新たな鉛であるN領域の原料が見つかり、その産地は南蛮貿易とキリスト教の日本への伝来と関わりがある東南アジアの可能性があると指摘されてきた。本論文では東南アジアに産地があると推定されているN領域の鉛について、その産地の範囲を狭め、より具体的な産地を明らかにすることを目的とした。さらに、あまり研究が行われていない韓国出土のガラス製品を中心に鉛同位体比分析を行い、韓国でのガラス原料の供給と流通経路を確認することももう一つの研究目的とした。
 本研究ではヨーロッパから東南アジアに至るどこかに産地があると推定されているN領域の鉛をより具体的に解明するため、日本出土のキリスト教関連遺物と共に、スペイン出土のキリスト教関連遺物、カンボジア、タイ出土の青銅製品に関して原料産地を調べ、N領域の産地は東南アジアにある可能性が高いことを確認した。
 さらに、タイ出土のガラス製品との比較、タイ所在の銅鉱山・鉛鉱山の鉛同位体比値、文献記録の内容などを調べ、N領域の鉛が何を意味するのかをより詳しく検討した。タイでは歴史的に考古遺物を製作する際には白鉛鉱のみを利用したと言われているが、実際の鉛同位体比分析の結果、タイでは青銅製品とガラス製品に用いられた鉛原料が同一系統であり、その中にはN領域の鉛も一部含まれていることを確認した。さらに、タイ所在の銅鉱山・鉛鉱山の鉛同位体比値を調べたところ、Song Toh鉛鉱山がN領域の鉛と一致し、N領域の産地はタイのSong Toh鉛鉱山である可能性が非常に高いことが分かった。タイには2,000年ほど稼動した大規模な鉱山帯があり、そこで活動していた一つの鉱山がSong Toh鉛鉱山であった。長い歴史の間、金属原料として東アジアにまで流通していたことが分かった。
 そして、文献記らの検討から、大航海時代にヨーロッパ諸国はパタニ、シャム、アユタヤなどという現在のタイの港から日本行きの船に鉛を積み込んだことを確認し、N領域の鉛の産地はタイにある可能性が非常に高いことを明らかにした。これは鉛同位体比分析の結果と文献記録の結果が一致したことになり、特定原料から物の動きを確認し、文献から裏付けすることができた意味で、歴史研究において大きな意味や可能性を示唆している。
 一方、韓国出土のガラス製品に関しては百済時代の遺跡から出土したガラス製品を中心に鉛同位体比分析を行った。それらの遺物は同一系統の原料が利用されており、百済時代にはガラス製作に用いられた特定の原料があった可能性を確認し、この原料を百済地域の原料と仮定した。そして、百済時代の原料の意味をより詳しく調べるために、百済地域から出土した青銅製品との比較を行い、百済時代のガラス製品に用いられた原料は青銅製品には利用されておらず、ガラス製作のための特殊な原料、選別された原料である可能性が非常に高いことを確認した。さらに、この百済地域の原料は北部九州からも確認され、一つの原料から地域間交流の実態が把握できる可能性が現れた。
 一方、5世紀頃の百済時代の韓国出土のガラスの一部からはN領域の鉛が確認され、少なくとも5世紀頃には東アジアと東南アジア地域間の交流があったことが鉛原料の産地から検証できた。
 本論文は東南アジア、特にタイのN領域の原料が2,000年以上に亘りの間、原料あるいは製品として東南アジアから東アジアへ広がり、東アジアでの物資の移動を一つの原料から確認できたことで意味がある。タイのN領域の原料は 大航海時代に行われた南蛮貿易によって輸入された東南アジアの原料と認識されていたが、韓国の百済時代のガラスからもN領域の原料が確認されたことは、大航海以前にも東南アジアと東アジア間の交流があったことを意味する。それ故、N領域の原料という一つの原料が東南アジアから東アジアの各地で、異なった時代の製品からみられることは、東アジアでの物資の移動を全面的に見直す結果でもある。
 韓国の百済地域のガラスの原料からも東アジアの中での人間・物資の移動を把握したことに意味がある。百済ではガラスを製作する際に規格化された原料を用いたことが本論文の研究から分かったが、百済地域のガラスの原料が同時期の日本の遺跡出土のガラスからも確認できたことは、東アジアの中でも特定地域間における交流を示す証拠として評価できる。
言語
jpn
資源タイプ text
ジャンル Thesis or Dissertation
Index
/ Public / 文化財学専攻博士論文 / 魯 禔玹
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