肥満はさまざまな疾患の誘因となることから世界的に深刻な健康問題となっている。さらに近年,肥満が慢性腎臓病の発症にも深く関わることが報告されている。また,糖尿病の進行によって引き起こされる合併症の一つである糖尿病性腎症は透析導入の主要な原因となり,経済的な負担が社会問題となっている。一方,細胞のエネルギーセンサーとして知られているAMP-activated protein kinase(AMPK)の活性化が,最近,エネルギー代謝の調節に加え免疫調節作用を持つことが明らかとなってきており,腎臓病の病態生理に関与していることが注目されている。そこで,本研究において実験1-①及び1-②では高脂肪食によって誘導した肥満によってもたらされる腎臓障害がAMP投与により改善するか否か,そして,その改善には腎臓組織AMPK活性化が関与するか否かを検討した。実験2では2型糖尿病モデルであるKK-Ayマウスを用いて,耐糖能及び糖尿病性腎症における腎臓炎症及び腎機能障害に対するAMP及びIMPの効果について検討した。