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ID M1313002
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タイトル 神域の境界標示-日本における事例とその意識-
著者
北原, 美希
別府大学大学院文学研究科文化財学専攻
抄録 1.研究目的
 神域の境界標示というテーマは、卒業論文のころから私が取り扱ってきたものである。卒業論文では、神域を神社などの宗教施設に設定し、そこにある境界標示として注連縄を初め、磐境や川、玉垣、鳥居などを挙げ、それらがなぜこんな形をしているのか、どのような機能を持っているのかに着目をしてきた。そして、その中で橋や川・池も1つの神域の境界標示だという考えにいきつき、本論では、これまで取り挙げた境界標示に加えて、橋や川・池についても考察を重ねていくことを目的とする。また、これまで、鳥居なら鳥居についてのみと、個々に対する研究は行われているが、総体的にまとめた研究はあまり行われていないようである。そのため、本論では、各境界表示の役割についてより深く考察すると共に、それぞれの相互作用についても考察を加えていった。

2.各境界の機能
 実際に、それぞれの境界標示の機能について考察をしていくと、境界標示には、社寺参詣曼荼羅を見ても大きく、(1)神域と俗世を隔てる境界標示と(2)神域と俗世を繋ぐ境界標示、3)そのどちらの機能も持つことがある境界標示の3つにわけることが出来ると考えられる。
 これらの中でも、本論の中で大きく取り上げた橋は、(2)の機能を強く持っているということが、橋を舞台とした伝説や伝承などから考察される。それは、橋が初めて文献資料として登場する記紀神話の中で、天浮橋という、高天原と中津国を繋ぐ機能を持った橋としてあることや、京都府の一条戻橋の伝説などのように、この世と異世界を繋ぐ機能があると強く考えられているということがうかがえるからである。
また、橋が架かる川や池に関しては、(1)の機能を持っていると考えられる。特に、川は、多くの社寺参詣曼荼羅の中でも物理的に大きく境界を示しているのがわかる。

3.おわりに
 神域というと、神のいる空間を示すが、その範囲はとても狭いものであるという考えがあった。しかし、社寺参詣曼荼羅などを見ることによって、その神域の意識はもっと広いものであり、その範囲に設けられる境界標示は、多重にあることもわかった。そして、その境界標示を多重に設けることによって神域の中で最も神聖な空間へと向かうときに段階的に参詣者の穢れを落とすことで、神域を穢れから守り、また、神秘性を強調していると考えられないだろうか。
注記 平成26年度修士論文
言語
jpn
資源タイプ text
ジャンル Thesis or Dissertaion
Index
/ Public / 修士論文 / 文学研究科 / 2014
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