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ID | M1312F01 | ||||
アイテムタイプ | Article | ||||
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タイトル | 日本語と中国語の授受表現についての研究―「くれる」を中心に― | ||||
著者 |
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抄録 | 本論文は、日本語の授受表現と中国語の授受表現を対照しながら研究するものである。具体的には、日本語の授受本動詞構文「あげる、もらう、くれる」と授受補助動詞構文「てあげる、てもらう、てくれる」について、それぞれを中国語の授受動詞構文と対照して分析を行なった。まず、すべての授受動詞を分析したうえで、特に日本語の「くれる」構文をとりあげ、中国語の「给」構文と対照して考察した。 日本語の授受表現は、授受本動詞構文の場合、ほぼ中国語の授受動詞文と対応すると考えることができる。両者は同じく物の物理的移動を表わすものである。しかし、授受補助動詞構文、とくに「くれる」文の場合は、物の物理的な移動ではなく恩恵の移動が際立つと考えられる。日本語の授受補助動詞には、非常に強い恩恵方向性があるのである。それに対して、中国語では恩恵方向性の意味が希薄である。一般に「给」などの授受動詞では、後続する人称代名詞を組み合わせなければ恩恵方向性を表わすことはない。 本論文では、日本語と中国語の授受表現を対照する観点から、特に日本語の授受動詞「くれる」をとりあげて考察した。具体的には、「~てくれる」文型を、「~てくれる」、「~てくれ」、「~てくれない」の3つの語形によって区別し、それぞれの文を中国語と対照することで特徴を分析した。その結果、以下のことが明らかになったものと考える。 まず、「~てくれる」文型について、話し手が直接受益者で動作主体が有情物の場合には「~てくれる」は「给」構文と対応する。しかし、話し手が直接受益者で動作主体が無情物の場合、話し手が間接受益者の場合、話し手の立場を明示する場合には、「~てくれる」は「给」構文と対応しない。 次に、「~てくれ」と「~てくれない」文型は、ほぼ中国語の授受構文と対応する。 最後に、「~てくれ」は、単純な命令形によってウチからソトへの恩恵方向性を逆向きに変化させるもので、恩恵方向性における転換の機能を持っている。また、「~てくれ」は、人称を明確にすることで意味が決められるものである。一方、「~てくれる」は様々な意味を表わしうるもので、人称から単純に意味を決めることができない。 |
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キーワード |
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言語 |
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資源タイプ | text | ||||
ジャンル | Thesis or Dissertaion | ||||
Index |
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