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本文 未公開
タイトル 運動習慣における感情抑制傾向と自己理解の研究
著者
松尾, 元気
別府大学大学院文学研究科臨床心理学専攻
日付
出版年:  - 
作成日
更新日
記録日: 2013-06-11
抄録 Ⅰ 問題と目的
運動がメンタルヘルスに有効であるとする研究は,2000 年以降さかんにおこなわれており,主に,うつ病(Michael et al,2000),不安障害(保坂,2005),統合失調症(泉水ら,2011)などがある。しかしながら,「そのような運動の精神・心理面への効果発現のメカニズムについては複数の仮説が提示されているものの未だ結論には至っていない」(永松,2011)というのが現状である。仮説のひとつとして,運動が感情の発散・解放に有用であるとするカタルシス仮説が報告されている(佐久間,2006 他)。一方,Rogers(1942)は,心理療法・カウンセリングにおいて,感情の解放であるカタルシスがクライエントの自己理解を促すことを報告している。本研究では,質問紙調査を用いて,Rogers(1942)の理論を基に,運動のカタルシス仮説の実証を試みた。
Ⅱ 方法
大学生333 名(運動習慣あり101 名,なし232 名)に対して分析をおこなった。使用した尺度は,運動習慣(週2 回以上、1 回30 分以上、1 年以上)の有無についての質問項目,感情抑制傾向尺度(樫村,岩満,2007),自己理解尺度(青木,2009),神経症症状を測定するGHQ28であった。
Ⅲ 結果と考察
感情抑制傾向尺度は主成分分析をおこなった結果,信頼性が確認された。自己理解尺度は,主因子法プロマックス回転による因子分析をおこなった結果,「現状の自己理解度」「自分らしさへの欲求」「自己理解欲求」「自己の情緒把握度」の4 因子が抽出された。
パス解析の結果,運動習慣から感情抑制傾向に負の影響は認められなかった。意識された感情を測ったことから,無意識での感情の解放である可能性が考えられた。しかし,運動習慣が自己理解の「自分らしさへの欲求」,「自己の情緒把握度」に正の影響をあたえることが明らかとなった。運動による自尊感情の高まりや,身体の変化による内面への気づきが関係しているものと推察された。そして,陰性感情抑制が陽性感情抑制に正の影響をあたえ,陽性感情抑制が自己理解の3 因子に負の影響をあたえていたことから,運動・スポーツには自己理解を高める効果があること,抑制された感情の解放を促すような心理療法・カウンセリングにも,あらためて,自己理解を高める効果があることが考えられた。
注記 平成25年度修士論文
指導教員 中村廣光
言語
jpn
資源タイプ text
ジャンル Thesis or Dissertaion
Index
/ Public / 修士論文 / 文学研究科 / 2012
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