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ID | M1114003 | ||||||||||||
アイテムタイプ | Article | ||||||||||||
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タイトル | タイプCパーソナリティにおける社会的同調性と合理性・反情緒性が心理生物学的ストレス反応とレジリエンスに及ぼす影響 | ||||||||||||
著者 |
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抄録 | 【学術的背景と研究目的】 現在、悪性新生物による死亡者数は、死亡原因の首位を占めている(厚生労働省, 2011)。ガンと心理的要因に関連して、Grossarth&Eysenck(1988)は、大規模コホート研究により社会的同調性と合理性・反情緒性がガン疾患の危険因子であることを実証した。今日、これら2 つの特性は、ガン疾患に親和性の高い「タイプCパーソナリティ」として確立され、過剰な感情抑圧が共通の特徴であることが明らかにされている(Temoshok, 1984)。従来より感情抑圧傾向者は、自己記述式の質問紙において健康的反応を示す一方で、生物学的ストレス反応においては極めて高い反応を呈することが指摘されてきた。しかしながら、社会的同調性と合理性・反情緒性はタイプC傾向として 統合的に捉えられて検証されてきたために結果の一貫性に乏しいだけでなく、ストレス反応性に注目した一義的なストレス評価がなされるに留まっていた。そこで本研究では、実験的-フィールド研究モデルに基づき、社会的同調性と合理性・反情緒が心理生物学的ストレス反応とレジリエンスに及ぼす影響についてアロスタティックな視点から詳細な検証を行うことを目的とした。 【研究方法】 対象者は、参加同意の得られた健康な大学生466 名と社会人100 名の合計566 名(男性151名、女性415 名、平均年齢22.7±8.9)であった。大学生466 名のうち64 名はTrier Social Stress Test の手続きによる実験室実験に参加してもらった。さらに、社会人100 名には起床時コルチゾール反応を検証するために平日と休日の唾液採取を行ってもらった。 【結果と考察】 社会的同調性の高い個人は、心臓血管系反応(LF/HF 成分)とコルチゾール反応において高い心理 的・生物学的ストレス反応と、低いレジリエンスを呈していた。慢性ストレス状態を示すアロスタティック指標の1 つとされる起床時コルチゾール反応(CAR)においては、起床30 分後に著明な上昇反応が認められず、HPA 系機能の摩耗を反映したアロスタティックロード状態に陥っている可能性が示唆された。 一方、合理性・反情緒性の高い個人は、低い心理的ストレス反応と高いレジリエンスを呈していた。急性メンタルストレステスト負荷に対しては、LF/HF 成分を介した高いストレス反応性が認められたが、ストレス受容後の回復率も極めて高かったことから、短期的ストレッサーに対しては適応的な心臓血管系反応が認められたと考えられる。しかしながら、CAR の不活性は慢性ストレス状態を反映し、翌日に対するエネルギーの準備性や覚醒水準が低下している可能性を示していると考えられる。ゆえに、高水準の社会的同調性と合理性・反情緒性傾向は、継起的に免疫機能を長期間抑制する要因であり、将来的なガンの発症に寄与している可能性が示唆された。 |
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注記 | 平成25年度修士論文 指導教員 矢島潤平 |
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言語 |
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資源タイプ | text | ||||||||||||
ジャンル | Thesis or Dissertaion | ||||||||||||
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