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タイトル 孤独感が攻撃性とレジリエンスに及ぼす影響
著者
小野田, 杏里沙
別府大学大学院文学研究科臨床心理学専攻
日付
出版年:  - 
作成日
更新日
記録日: 2013-11-19
抄録 【学術的背景と研究目的】
 2007年度の国連児童基金(ユニセフ)イノチェンティ研究センターが発表した子どもの「幸福度」に関する報告書によると,わが国において,「自分は孤独である」と感じている15歳未満の子どもの割合は29.8%であり,回答のあった24カ国中トップであった.畠山(2006)は,幼児期に孤独感を抱えることは社会的スキルや知識の獲得が阻害され,将来にわたる社会的不適応とも関連する可能性があると報告しており,個人が生きていく上で孤独感は重要な心理的要因の一つであると示唆される.
 現代社会では,多くの人がストレスを抱えている状況にある。このように悩みやストレスがある中で適応的に過ごしていくために注目されている概念の一つにレジリエンスがある.レジリエンスは,「困難で脅威的な状況にも関わらず,うまく適応する過程・能力・結果」のことを意味する(原ら,2011).原ら(2011)によると,ネガティブライフイベント尺度で高値を示す群は,レジリエンスとストレス反応の相関が高いものの,ストレス経験が低くてもいくつかのストレス反応とレジリエンスの相関は有意なものがあり,ストレスが少ない状態でも予防因子としてレジリエンスが働く可能性を示唆した。
 以上の知見から,本研究では,孤独感に焦点をあて,孤独感が攻撃性とストレスに及ぼす影響について研究することを目的とする。
【研究方法】
 対象者は,大学生325名(男性80名,女性245名,年齢19.37±10.08歳),社会人79名(男性19名,女性60名,年齢39.40±10.40歳)であり,一斉調査法にて質問紙調査を行なった。
【結果と考察】
 大学生と社会人の孤独感についての比較では,孤独感の高低群において有意差はみられたものの,大学生と社会人における孤独感に差はみられなかった。過去の知見では,青年期が最も孤独感を感じやすいという結果が散見される。しかしながら,今回の結果において,孤独感は誰しもが有している感情であり,大学生と社会人における孤独感に差はみられないという新たな知見が得られた。加えて,大学生と社会人の孤独感高低群について2要因の分散分析を行なったところ,し大学生・社会人ともに孤独感高群は,攻撃性とストレスが高く,レジリエンスが低く,孤独感低群は言語的攻撃性とレジリエンスが高いことが明らかになった。これらの結果より,孤独感の低い個人は,孤独感そのものを有していないわけではなく,言語的攻撃性として,他者に対し積極的に自己主張をすることにより,Russellら(1980)が述べている,孤独感の達成水準と願望水準とを均衡に保っている可能性が示唆された。
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/ Public / 修士論文 / 文学研究科 / 2012
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