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ID | m1014006 | ||||||||||||
アイテムタイプ | Article | ||||||||||||
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タイトル | ダルクスタッフの回復:事例研究からの考察 | ||||||||||||
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著者 |
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抄録 | 要旨 Ⅰ 問題 「ダルク」(DARC-ドラッグ・アディクション・リハビリテーション・センター)は、1985年に薬物依存症の当事者である近藤恒夫が設立した、薬物依存者のための治療共同体である。ダルクを運営するスタッフは、ダルクで回復しつつある当事者である。 現在ダルクは、日本全国で約60施設以上に増えたが、ここ数年、ダルクスタッフの訃報が続き、回復者のバーンアウトの問題も指摘されている(山下,2011 鳥取ダルク通信より)。 これまでも、多くの研究者によって、薬物・アルコール依存者に、自殺や抑うつの問題があることが指摘されてきた。 Ⅱ 仮説 報告者はこれまで、ダルクのメンバーやスタッフに接してきた経験から、「普通の当たり前の生活を続けることに大変苦痛を感じる」という特徴が、薬物依存者にとって非常に根深い問題であると感じてきた。 Ⅲ 目的 本研究は、ダルクスタッフが抱える生きづらさ、困難さを、インタビュー調査から明らかにすることを目的とする。 Ⅳ 方法 岡山ダルク、鳥取ダルクにて、承諾を得たスタッフに、インタビュー調査を行う。 インタビュー内容は、まず逐語録に起こす。その逐語録を事例としてまとめ、考察を行う。 Ⅴ インタビュー時期と事例の概要 2011年7月5~6日、岡山ダルクにてAさん、Bさん、Dさん、Eさんにインタビューを行った。2011年10月10日、鳥取ダルクにて、Cさん、Fさんにインタビューを行った。 Ⅵ 結果と考察 6名の共通点 6名の事例を考察した結果、全員に共通する4つの特徴が明らかになった。 1【抑うつ感・うつ状態】 2【感情処理・自己主張の困難さ】 3【思春期以降の多忙さ】 4【各地を転々とする生き方】 仮説の検証 まず報告者は、「普通の当たり前の生活を続けることに大変苦痛を感じる」ことが、薬物依存者にとって根深い問題であり、抑うつや自傷と関連していると推測した。 6名に共通する4つの特徴は、双極Ⅱ型障害の特徴と重なる。 内海(2006)は、双極Ⅱ型障害の特徴として顕著にみられる「閉塞・停滞の忌避」という心性を以下のように説明している。 報告者は、「普通の当たり前の生活を続けることに大変苦痛を感じる」ことが、内海(2006)の述べている「閉塞・停滞の忌避」に相当すると考える。 したがって、6名に共通してみられた3【思春期以降の多忙さ】、4【各地を転々とする生き方】は、抑うつに対する防衛だと考える。 次に、「普通の当たり前の生活を続けることに大変苦痛を感じる」ことによって、仕事や生活の基盤が不安定になり、バーンアウトにつながるリスクが高まると推測した。 内海(2006)は、「閉塞・停滞の忌避」について以下のように述べている。 この心性には、危険をもたらす側面と、安定にも通じる側面がある。この心性が健全に機能するためには、彼らの乗り越えが回帰すべきハイマート(故郷)をもっていることだ。内海(2006)はハイマートの例として、伝統的な価値、家庭、共同体をあげている。 今回の6名にとっては、主にダルクがハイマートの役割を果たしていると考える。彼らは、「乗り越え」と「回帰」という矛盾した双方向への動きの中で、危ういバランスを取りながら生きているといえる。 まとめ この研究を通して、「ダルクスタッフが抱える生きづらさ」の一部は明らかになったと考える。また、ダルクでの「回復」についても、輪郭が明らかになったと考える。 6名それぞれが、場所や人間関係を転々としながら、その人のペースでマイストーリーを書き換えていく。回復とは、自分の抑うつの原因と向き合い、それなりの落としどころを見つける過程だと考える。 |
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NDC | |||||||||||||
注記 | 平成23年度修士論文 指導教員 大嶋美登子 |
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言語 |
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資源タイプ | text | ||||||||||||
ジャンル | Thesis or Dissertaion | ||||||||||||
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